認知症と向き合う

「家に知らない人がずっと居るのよ。」と、体操教室の生徒のAさんが言ってきました。

体操教室は、23年目を迎えます。当時60歳代で通い始めた方が、80歳を過ぎました。今まで元気に教室に通っていたある日、Aさんはお風呂場で尻もちをついて尾てい骨骨折。しばらくお休みをする事になりました。

その後、回復され教室に復活されました。実はその時から、何か違和感を感じていました。体操の踏み台昇降が始まると、黙ってトイレに毎回行くのです。少し落ち着きのない感じも見受けました。

血圧も高い事が増えたため病院の診察を進めると、「外科に行ってるから大丈夫」という返答でした。この状態が半年近く続き、今度は言われた事をすぐに忘れるようになってしまいました。

そんな時 Aさんは「家に知らない人がずっと居るのよ。」と言ってきたのです。「旦那が黙って連れてきて!!」「何でいつまでもいるの!!」と私たちに 怖がる様子も無く淡々と、そして何か 怒った様な感じで訴えてくるのです。

まるで本当に起きてる事を伝えてる感じです。

私は「その方と話はしてないの?」「ご飯はどうしてるの?」と聞くと返事が曖昧になりました。この話をうけて、私は直接 Aさんのご家族に知って頂かなくてはと思い、まずはAさんにいくつか質問しました。

「知らない人を黙って置いておくのは、
  Aさんの負担になってない?」

「ちゃんと寝れてる?
  体によくないから旦那様に相談したら?
  できないなら一緒にお宅で説明しようか?」

こんな質問を繰り返していると、Aさんは「私、幻覚をみてるのかな?」とご自分を冷静に振り返る事が出来ました。

Aさんご本人は、真剣に不思議な感覚を現実として過ごしていました。 私がゆっくりしっかりとAさんの話を聞いた事で、Aさん自身に起こったことが、妄想だったのか現実だったのかが段々分かってきたようです。

その後Aさんは、御主人と一緒に病院へ行きました。
お医者様・Aさん・Aさんの御主人で、カウンセリングを繰り返し、Aさんに合った薬を処方されているようです。随分明るくなったAさん。完治ではありませんが、お医者様としっかり向かい合いながら、自分の日々の生活を送っています。

体操教室では、皆さんと協力しながら心のバランスと体のバランスをとる事を大切に実施しています。

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